家具デザインにもジェネリック?

ジェネリック』と言えば、保護期間が切れ、開発費が掛かっていない薬を安価に販売できる『後発医薬品』のことを指すと思いますが、最近では家具にも『ジェネリック家具』という感じで使われることがあるようです。


意匠権の切れた有名デザイナーの家具デザインを、そっくりそのままコピーして、安い値段で販売しているもののことを言うようですね。

 

意匠権』とは、創造・制作・開発したデザインなどを、申請・登録した者が独占的に使用できる権利のことを言います。
保護期間が切れると、誰でもそのデザインを自由に利用できるようになる、というわけですね。

 

日本での意匠権の保護期間は20年、アメリカでは14年、ヨーロッパでは25年となっていて、小説や漫画、映画などに適用される『著作権』が50~70年なのに比べると、かなり短く設定されているなぁという感じがします。

それはさておき。
有名家具デザイナーたちの洗練されたデザイナーズ家具が、ジェネリック家具として安価で販売されるのは悪いことではないのですが、安い分、品質が劣ることもよくあるんですよね。


かと思うと逆に、「正規品」を謳っていながら

 コストダウンのために制作当初とは違う質感・使用感になってしまっているものもあり……。

そのデザイナーズ家具のジェネリック品・正規品がどの程度、制作当初の質感・使用感を保っているかについては、値段や販売元ではなく、使用されている素材などをチェックして、発売当初のものと近いか遠いかを比べると良さそうだな……と、いろいろ見比べてみてしみじみ思いました。

それにしても、意匠権が切れたデザインが多くの人に利用される、というのは、かつては斬新であったあそのデザインが、もはや「定番」になったことの証でもありますよね。

洗練されたデザインは長く親しまれ、そのうちに人の生活の中に溶け込み、「当たり前の形」になっていく――その現場をこうしてリアルタイムで目撃できるというのは、本当に面白いものだと思うばかりです。